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BEAM連合会 – AMRアクションファンドに関するリフレクションペーパー

作成者: Admin|Aug 27, 2020 8:20:00 AM

出典: BEAM Alliance

BEAM連合会 – AMRアクションファンドに関するリフレクションペーパー

COVID-19の世界的流行は、医薬品やワクチンの開発にどれほどの時間とリソースが必要であるかをあらためて浮き彫りにしました。AMRアクションファンドの設立には歓迎の意を表する一方、AMRの問題に対する取り組みにおいてどの程度効果が発揮されるかは、ファンドのアクセシビリティや包括性に左右されると考えられます。

BEAM連合会について

クノロジー企業)連合会は、欧州レベルや国レベルで抗菌薬耐性と闘うためのソリューションを開発している欧州の60社以上の中小企業を代表する団体です。BEAMの加盟企業は、微生物感染症の予防、診断、及び治療に重点を置いた計140以上の新しい多角的な研究開発プロジェクトを行っています。BEAM連合会の目標は、この分野における中小企業主導型のイノベーションについて知ってもらい、認識を深めていくこと、そして政策立案者がAMRに関する経済事業モデルを理解するのを支援することです。

AMR専用のファンドの必要性

BEAM連合会では、その設立以来、抗菌薬耐性(AMR)に取り組むための専用ファンドの必要性を訴える上で中心的な役割を果たしてきました。この重要な要求は、2015年に発表した当連合会の最初のポジションペーパーで、革新的な抗菌薬の開発において中小企業が直面している資金調達の問題に対する解決策として大きく取り上げられました。

また、BEAM連合会は、ここ数年にわたって、AMRに対するファンドのための財務モデルを設計するにあたり、世界保健機関(WHO)と欧州投資銀行(EIB)が主導する取り組みにも貢献してきました。 このモデルでは、研究開発費、開発段階における進行速度、及び完成した製品から得られる可能性のある収益に関する情報に基づき、ユーザーがファンドへの投資利益を見積もることができます。

抗菌薬は、現代医療において欠かすことのできない重要な役割を果たしているにもかかわらず、価格が安く、購入量も少ないことから、投資利益率が低くなっています。このような市場の失敗に加え、科学的な面での難しさもあり、大手製薬企業はこの分野への投資を中止するようになりました。

その結果、中小企業がAMRの抑制を目的とした新製品の設計において主要な役割を果たすこととなり、約400の抗菌薬の前臨床プロジェクトの80%以上を提供しています。1革新的な製品の臨床開発を進めていく上で、民間投資家を見つけるのが難しくなっていることが、AMRとの闘いにおける重大な制約となっています。したがって、次の世界的な健康危機となる可能性があるAMRと闘うためには、AMR専用のファンドが喫緊に必要なのです。

AMRアクションファンドを大いに歓迎

BEAMアライアンスは、AMRアクションファンドの立ち上げを支持し、AMRの脅威に対応するために長い間求められていた待望の重要な資金提供手段として約10億米ドルの提供を約束していることに称賛の意を表します。同ファンドの詳しいプロセスや条件はまだ定まっていませんが、そのバックボーンは整備されており、20社以上の世界有数の製薬企業が資金を拠出しています。

現在のところ、同ファンドは株式又は転換社債を通じて投資する約10億米ドルの資金を保有しています。さらに、必要に応じて現物供給による医薬品開発支援を行う場合もあります。今後5年間で、15~20件のプロジェクトや企業がこの投資案による恩恵を受けることが期待されています。投資額は事前に規定されてはおらず、各プロジェクトや企業のニーズとプロファイルによって変わります。

同ファンドが主に重点を置くのは、後期臨床開発の支援です。資金提供の対象となるプロジェクトは、直接作用型の新規抗菌化合物(小分子、ファージ、生物製剤など)の第I相以降で、優先病原体(WHO及びCDCの脅威リスト)を標的としている必要があります。同ファンドは2030年までに3~4剤の新規抗菌薬を臨床診療で使用できるようにすることを目指しており、独立した科学諮問委員会(Scientific Advisory Board:SAB)が支援対象とするプロジェクトを選定します。

したがって、AMRアクションファンドは、中小企業にとって集中的な投資が必要な後期開発の資金を調達する大きな機会となります。とはいえ、進化するAMRの脅威に対処する持続的な製品パイプラインを実現していくには、多様な装備が必要であるとBEAM連合会は考えています。そのため、WHOやピュー・トラスト(Pew Trust)などの主要なステークホルダーによってその可能性が広く認識されている非従来型のアプローチを含め、資金提供の対象とするプロジェクトの範囲を拡大してもらいたいと思います。

重要な次なるステップ

AMRアクションファンドが成果の達成において確実に効果を発揮するためには、独立したSABと健全な運営の枠組みの確立がカギとなります。

SABは、パイプラインにあるイノベーションや次世代のアプローチを考慮しながら、事前に規定された一連の基準に基づいて、さまざまな候補の臨床的有用性を評価することから、重要な役割を果たすことになります。SABがそのミッションをしっかりと果たすためには、世界的及び地域的なAMRの問題について認識し、この問題に対するさまざまな考え方を代表する、多様な分野の人々(疫学者、臨床医、微生物学者など)から選出された独立した科学者で構成されることが極めて重要です。

運営については、BEAM連合会は、製薬企業が抗菌薬の後期開発、製造、及び流通にもたらすことができるノウハウを踏まえ、製薬企業間の連携強化によってもたらされる付加価値を歓迎します。しかし、健全な運営の枠組みは、小規模なバイオテクノロジー企業とその初期段階への投資家の利益を守りつつ、これらの関係を育成するものでなければなりません。

資金提供の先へ:プル型インセンティブの必要性

BEAM連合会では、AMRアクションファンドのようなイニシアチブが、ほかの投資家の関心と信頼を取り戻し、研究開発において顧みられてこなかった分野で初期段階にあるプロジェクトを含めて新たな資金調達機会がもたらされることを期待しています。さらに、こうしたイニシアチブが政府や政策立案者を後押しし、新規抗菌薬の開発に対するプル型インセンティブの検討や選択肢の評価がさらに進められることを願っています。

AMR投資分野に再び企業を呼び込むためには、財務支援を増やすことに加え、持続可能な抗菌薬パイプラインの実現を目指した市場状況の体系的かつ永続的な変化が必要になります。BEAM連合会では、抗菌製品の開発者や投資家にとって最も切迫した問題である、市場の展望改善を引き続き訴えていきます。

そして、AMRアクションファンドの大いなる志と10年目標に合わせて、資金提供の結果開発された抗菌薬が科学的・臨床的観点からだけでなく市場の観点からも真に実現可能なものとなるよう、この分野におけるイノベーションを支援する商業的エコシステムが構築される必要があります。

リフレクションペーパーはこちらから入手できます。